フィットネスなんでもQ&A ― 指導現場の悩みと疑問に ベテランインストラクターが回答!フィットネスなんでもQ&A ― 指導現場の悩みと疑問に ベテランインストラクターが回答!

フィットネスに関する様々な疑問や指導上の悩みについて、第一線で活躍するベテラン インストラクターがお答えします。
(回答者:吉田 真理子/秦フィットネス研究所)

Vol. 018
相談:
高齢者を対象とした指導に本格的に取り組みたいと思っています。
通常のレッスンと異なる点はどういったことでしょうか?
回答:
まず、シニアの方々が最も嫌うのが“変化”です。
年寄り扱いを嫌う人もいますので、ここのマネジメントも難しいところです。

個々人によって、体力のレベルは異なります。したがって、前提として、ここでは厳密に何歳以上の方を高齢者と判断するかについてはとりあえずさておき、一つの目安として、加齢により身体に何らかの問題を抱えている、あるいはその可能性のある人たちという捉え方で、以降の話を進めていきたいと思います。

まず、シニアの方々が最も嫌うのが“変化”です。通常、一般向けのレッスンであれば、2ヵ月程度でプログラムを変更していく傾向があります。しかし、シニアが対象の場合、少なくとも3ヵ月は継続したほうがいい。なぜなら、2ヵ月くらいだと、ようやくプログラムの内容に慣れてきた段階で、それ以降からが本当の楽しさを味わえる時期だからです。

実際、一般の方々と同じサイクルに変更した際、「プログラムの切り替えが早すぎる。もう少しじっくり楽しみたい」という苦情が届いたという話も聞いたことがあります。

もし変化をつけるのであれば、シニアの場合は、“フルモデルチェンジ”ではなく、3(新):7(旧)くらいの割合での“マイナーチェンジ”が理想的だといえるでしょう。例えば、ウォームアップの曲は変わっても、全体の流れ(構成)は同じというイメージです。

インストラクターは良かれと思って、さまざまなアレンジを加えているつもりでも、シニアの方々にとっては実は苦痛でしかなかった、ということも多々あるのです。

もちろんそうでない人もいますが、新しい動きについていけない、あるいは覚えられないということが度重なると、自己嫌悪に陥ってしまう人が意外に多い。その結果、レッスンそのものが苦痛となり、最終的に脱落という結末を迎えてしまう。これでは本末転倒でしょう。

したがって、シニアの方々が安心してレッスンを楽しむためにもプログラム変更は、3ヵ月を1つの区切りとするのがよいでしょう。

シニア向けのレッスンという特徴を鮮明に打ち出すと、なかには年寄り扱いしないでほしいと感じる人もいます。実は、インストラクターにとっては、ここのマネジメントも難しいところです。

ちなみに私の担当するレッスンは、大半が年齢枠で区切っていないので、老若男女さまざまな方々がいらっしゃいます。ただし、このケースでは、どこのレベルに合わせるかという問題が生じてきます。

そこで、時に私は、先ほどのケースとは逆に、あえて 7(新):3(旧)の割合で変化を加えます。安全性には十分配慮した上で、あえて動ける方々を中心に構成する日をつくるのです。すると、ついてこれない方々が出てきます。

そのなかで、明らかに加齢により安全に動くことができなくなってきている人に対しては、自分自身の“現在地”を知っていただくと同時に、プライドを傷つけないよう、「シニア向けのレッスンもいかがですか?」とお声掛けするようにしています。

シニアの方々は、数々の社会経験を積まれてきているだけにプライドがある。したがって、私たちは、何よりも人生の先輩としてリスペクトすることを忘れてはなりません。

その際には、言葉遣いにも配慮する必要があります。時折、子ども扱いしたような言葉がけをする人を見かけますが、これは思いやりのはき違え以外の何ものでもないと、私は考えます。

取材・構成/光成 耕司(彩光舎)

■回答者: 吉田 真理子さん (秦フィットネス研究所)
吉田 真理子さん
〈よしだ・まりこ〉 秦フィットネス研究所 所長。NPO法人フィットネスビューティ100代表理事。「長生きストレッチ」考案者。健康運動指導士。日本フィットネス協会エアロビクスダンスディレクター・エグザミナー・ADI。医療施設のメディカルフィットネスチーフ、企業フィットネス責任者、中高年フィットネス指導、インストラクター養成コース担当などを経験した後、フリーとして独立。シニアフィットネスの専門家であり、女性の運動不足、カラダの痛みを解消するフィットネスディレクターとして活躍するインストラクター&パーソナルトレーナーである。

*本記事は、「月刊ジャパンフィットネス」 2017年2月号に掲載された内容を基に構成しています。

*本シリーズは現在(2019年4月)も好評連載中です。ぜひ最新号もご覧ください♪

*回答者のプロフィールは、掲載当時のものです。

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