フィットネスなんでもQ&A ― 指導現場の悩みと疑問に ベテランインストラクターが回答!フィットネスなんでもQ&A ― 指導現場の悩みと疑問に ベテランインストラクターが回答!

フィットネスに関する様々な疑問や指導上の悩みについて、第一線で活躍するベテラン インストラクターがお答えします。
(回答者:吉田 真理子/秦フィットネス研究所)

Vol. 028
相談:
メンバーさんのなかに派閥争いがあり、こちらの派閥の人からもう一方の派閥の人の悪口を聞かされて困っています。
回答:
クラブのメンバーさんは、クラブにとって大切なお客様であることを忘れてはなりません。インストラクターは常に公平に、公平に…の立場を貫くこと。

まず、一つは鈍感になること。あなた自身のなかでは、状況は把握しているけれど、「へ~、そうなんですか」と、まったく知らなかったと装うことです。

人の悪口に対しては、終始、素知らぬ顔でのらりくらりと柔軟にかわしていくことが、インストラクターとしてたくましく生き延びていく処世術といっても過言ではありません。そのためにも、決して首を突っ込まないこと。仮に首を突っ込まざるを得ない状況になったとしても、絶対に同調などしてはいけません。

なぜなら、その話が支配人のところまで上がってしまい、「あの先生はひいきしている」となって、下手をすると自らの首が飛びかねない事態にまで発展してしまう危険性があるからです。

互いにいがみ合っているグループ同士の場合には、一方のグループと談笑しているだけでも、相手のほうはというと、「私たちは悪口を言われているのではないか…」と疑心暗鬼になってしまうもの。つまり、同調されているのではないかと勘繰られてしまうものなのです。たとえ、諍いにはまったく関係のない話をしていたとしても…です。

だからこそ、状況を把握しているのであればなおさら首は突っ込まないほうがいい。もっといえば、仲裁もしないほうがいいと思います。どうしてかといえば、かえって“やぶ蛇”になりかねないから。

仲裁に入るということは、その両者の“ドロドロ状態”の真っ只中にどっぷりと浸かってしまうことになり、かえって大きなストレスを溜めてしまうだけ、ということになりかねないのです。

そもそも、派閥というのはレッスンのなかで生じるものではありません。ロッカールームでの人間関係が、スタジオの中にまで持ち込まれてくるケースがほとんどです。

また、クラブにおけるメンバーさんは、決して自分だけのメンバーではなく、クラブにとって大切なお客様であることを忘れてはなりません。

割り切った言い方をすれば、インストラクターは、クラブにレッスンを提供しに来ているだけであって、学校におけるクラス担任の先生ではないということ。つまり、自らの役割をはき違えると、思わぬ墓穴を掘ってしまうというわけです。

ドライといわれるかもしれませんが、「郷に入っては郷に従え」の鉄則を破ってしまっては、思いもよらない事態に巻き込まれないとも限りません。そういった意味でも、ちょっとずるい…といわれるかもしれませんが、インストラクターには鈍感力を磨く(鈍感力は磨くものなのか…笑)ことも、あるいは生き馬の目を抜くことも、必要な要件でないかと思います。まれに、「皆、同じフィットネスをやっているんだから、そんなに悪く言わないでおきましょうよ」とたしなめるのもありかもしれませんが、それは年季の入ったベテランインストラクターでなければ、なかなか言いづらいもの。

ただし、その場合も、ビシッと上から押さえつけるように言うのではなく、「そんなこと言っているとシワが増えるわよ」というジョークをまじえるノリを駆使するくらいのほうがよいでしょう。

フィットネスは人間同士が競うものではありません。したがって、インストラクターは常に公平に、公平に…の立場を貫くこと。そのために無関心を装うことも、一つの技術なのです。

取材・構成/光成 耕司(彩光舎)

■回答者: 吉田 真理子さん (秦フィットネス研究所)
吉田 真理子さん
〈よしだ・まりこ〉 秦フィットネス研究所 所長。NPO法人フィットネスビューティ100代表理事。「長生きストレッチ」考案者。健康運動指導士。日本フィットネス協会エアロビクスダンスディレクター・エグザミナー・ADI。医療施設のメディカルフィットネスチーフ、企業フィットネス責任者、中高年フィットネス指導、インストラクター養成コース担当などを経験した後、フリーとして独立。シニアフィットネスの専門家であり、女性の運動不足、カラダの痛みを解消するフィットネスディレクターとして活躍するインストラクター&パーソナルトレーナーである。

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