[2013年2月特集インタビュー]

インストラクター・トレーナーのステップアップ ~ しっかり学んで実践に活かす! 皆さんが次の一歩として見据えているステップは?

エアロビクスをはじめダンスエクササイズやヨガ、ピラティス、パーソナルトレーナーなどフィットネスプログラムが多様化する現在。皆さんが次の一歩として見据えているステップは? しっかり学んで実践に活かすために!
4名の方にお話を伺いました。ぜひ参考にしてください。

インストラクターは、いつも元気で見た目も若々しい
「人生を楽しんでいる人」のお手本

奥村 辰平さん アファジャパン(株) 代表取締役社長

安全で効果的なフィットネスを指導できる力をつける

 仕事上、私は多くのインストラクターの方に出会いますが、その度にインストラクターというのはいい意味でとても特殊な人たちだと感じています。その多くは女性ですが、あれだけパワーのある人を、ほかの業界では見たことがない(笑)
 いつもイキイキとして笑顔を絶やさず、人から見られているということを意識しているせいか見た目も若い。一緒にいるだけでパワーをもらえる、人生を楽しんでいる人のお手本のような人たちですよね。そしてこれが何より驚いたことですが、エアロビクスだけでなくアクアもするし、ヨガやダンスも指導できる、マルチな才能を持つ人がとても多い。これだけ人を輝かせることができるインストラクターという職業は、本当に素晴らしいなと思っています。

 そうはいっても、ただ元気で人気があるだけでは成り立たないのがインストラクターの仕事の難しいところ。多くの人安全で効果的なフィットネスを指導できる力をつけるたちの前に立って指導を任されている以上、そのエクササイズが「楽しければいい」「おもしろければいい」といった方向にはいかないように、常に安全で正しく指導することが求められます。第一に考えてほしいのは、そのクラスに参加しているメンバーのこと。インストラクター個人としてはアイドル的な人気も必要でしょうが、まずは1人ひとりに目を配って、「ストレスを解消したい」「シェイプアップしたい」などといった参加者たちの目標を達成できる、何かあれば親身になって相談に乗れるような存在になれるといいですね。

 そのためにも大切なのは、知識として身体のしくみを勉強しておくこと。また、インストラクターは人対人の仕事であり、指導する相手は自分より年齢も社会経験もある人たちがいるわけですから、社会人として最低限のマナーも必要です。これらは一朝一夕で身に付くことではありませんから、インストラクターを志したときから常に心に留めておくようにしてほしいと思います。養成コースで指導を担当しているインストラクターは、それらをマスターしている人たちですから、どんどんその良い所を吸収してください。

クラブ外へも活動の場を広め 若者からフィットネスブームを

 養成コース選びももちろん大切ですが、気を付けたいのはインストラクターの資格を取ったことで満足してしまうとその後の成長が思わしくないということ。フィットネス業界も世間と違わず厳しい状態が続いていますし、指導するプログラムが減ったり時間が短くなったりすることも少なくありません。もしインストラクターという仕事で生計を立てていこうと思うのであれば、常に自分の知識や技術をブラッシュアップすることはもちろん、金銭面以外の価値、例えばみんなを幸せにしたい、目標を達成させてあげたいと思う情熱を持ち続けることが欠かせないでしょう。
 私があるインストラクターから聞いて印象に残っているものに、「インストラクターであることを誇りに思っている」という言葉があります。インストラクターほど、直接人を変化させることができ、直接人から感謝される仕事はないというんです。どんな仕事でも誇りを持って働けるということは素晴らしいことですが、たしかにインストラクターほど手ごたえを肌で感じられる仕事はそうはないのかもしれません。

 今、フィットネスクラブに通うメンバーの平均年齢は40歳を超えていますし、クラブではシニアが参加しやすいプログラムも多くなってきました。日本の高齢化社会を考えるとこれは当たり前のことなのですが、一方で年齢層が上がったことで若い世代がフィットネスクラブに足を運びづらくなっているという問題も出てきています。
 フィットネス人口を増やすためにも、これからインストラクターを目指す若い人たちに、どんどん新しいブームを作ってほしいですね。海外に比べて日本の若者がフィットネスに興味を持たないかといえば、決してそんなことはないと思うんです。だってインストラクターたちを見ていると、やっぱりカッコいいですし憧れの存在ですから! 指導する場もクラブ内に限定する必要はなく、どんどん外へ出て活動の場を広げていってほしいですね。

プロとしての自己プロデュースを忘れなければ
インストラクターは一生を託せる仕事

杖﨑 洋さん (一社)日本フィットネス産業協会 専務理事

将来どうなりたいか、どこで働きたいのかを考えて

 インストラクターになりたいと思ったとき、みなさんはどのようにして養成コースを探すのでしょうか。今通っているクラブが好きだから、そのクラブで開催している養成に入る、時間や開催される場所などから自分の生活スタイルに合った通いやすい所を探す……など、色々なパターンが考えられると思います。私たち日本フィットネス産業協会は、フィットネスクラブの事業者が集まっている団体です。クラブ経営者の立場からアドバイスさせていただくと、養成コース選びの際には、ぜひ「自分がどのようなインストラクターになって、どこで活動したいか」といった視点を持たれると良いと思います。インストラクターとクラブ側、お互いの求めるものが合致しなければ、せっかく活動の場を得たとしても長くは続きません。

 ひとくちに理想のインストラクター像といっても様々な指導スタイルがあると思います。例えば、あるインストラクターはエアロビックダンスエクササイズ指導に自分の持ち味を特化して活躍されている。一方では、エアロビックダンスに加えて、ヨーガやピラティスなどの指導スキルを身につけて、オールラウンダー的に活躍されている方も少なくありません。どちらが良いということではありません。ただ、最近ではご存じのとおりフィットネスクラブで今日提供されて将来どうなりたいか、どこで働きたいのかを考えているエクササイズプログラムのトレンドとしては、非常に多様化していることは明らかです。

 また、フィットネス指導者として自分のキャリアアップを図っていくその働き方として、フリーランスでいくのか、それとも正式な職員として、組織の一員として施設運営全般にかかわっていくのかという視点でも、学ぶべきこと、経験すべきことは異なってくるのではないでしょうか。施設運営上必要な雑務もこなす必要があるかもしれませんし、会計の知識も求められるかもしれませんね。
 さらには、ご自身が活躍される地域性といったことも関係してくるかもしれません。
 例えば、あまりフィットネス施設も多くなく、同時に指導者数も少ないエリアで活躍されるとしたら、プログラムの多様性を実現するためには、一人の指導者が多様なプログラムを担当できた方が、施設側にとってもありがたいし、指導する方にとっては一カ所で多くの収入を得ることができるわけです。
 そのようなことを複合的に考えて、ネットや雑誌などから多くの情報を取集し、目標を叶えられる養成コースや取得する資格を選ぶと良いと考えます。

プロとしての「スキル」を磨き続けることが大切

 当協会が、在籍中のメンバーたちへフィットネスクラブに通う前後の評価調査をしたところ、クラブに入る前には重要視していなかったけれど入会後の評価が非常に高かったものの1つに「新しい仲間ができた」という意見がありました。毎週出ているスタジオのクラスで友だちができたり、クラブ主催のサークル活動で仲間ができたりといったことが、結果的にメンバーの満足度やクラブへの定着にもつながっているということです。そこには、メンバー間の接着剤となるコミュニケーションスキルの高いインストラクターの存在がとても重要になるのだと思います。下でも挙げましたが、インストラクターの方たちは、フィットネスクラブにとって一番の財産です。

 ただ忘れてはいけないのは、インストラクターは第一義的にはプロとして「エクササイズ」を提供する人だということ。運動を正しく楽しく指導するというレッスンスキルを有していることが何よりも重要です。その上で、会員同士をつなげるコミュニケーションスキルも求められると考えます。また、インストラクターはサービス業ですから、接客マナーも欠かせません。自分はあまりコミュニケーション能力が高い方ではない……と思う方がいるかもしれせんが、「スキル」というからには、自らが努力してトレーニングを積めば高めていけるもの。持って生まれたキャラクターだけではない、確実な技術を磨いてほしいですね。

エアロビックの指導者は
いくつになっても目指せる職業です

知念 かおるさん (社)日本エアロビック連盟 理事長

運動指導の基本は5Wからスタート

 日本エアロビック連盟(JAF)では、独自のJAF認定指導者資格と、日本体育協会と協力して進める公認エアロビック指導者資格の認定を行っています。公認資格は一般教養を日本体育協会が担当し、水泳やサッカー、バレーボール、野球、エアロビック……などといった専門分野を各競技団体が担当して認定を行っているもの。日本体育協会の担当部分は比較的講習時間が短く、通信でも取得ができます。

 JAFが公認指導員の資格を認定し始めて約20年ですが、当時の講習会に集まっていたのは、都市部のフィットネスクラブで指導をしているインストラクターたちがほとんどでした。すでに現場で教えているけど、JAFの資格も持ちたいという人たちが多かったんですね。最近の受講者は、一般の公共施設やサークルなどで運動指導を運動指導の基本は5Wからスタート行っている人がメインになってきていて、北は北海道から南は九州まで、地方から参加される方たちも多くいます。もちろんフィットネスクラブなどでエアロビクスをやってみて楽しかったから指導者を目指したい、エアロビックが好きで、趣味で教えたいから資格を取りたいという人も。去年の講習会には、なんと10代の競技選手から50代の指導歴のない愛好者までが集まったんですよ。
 エアロビックは生涯スポーツですから、「フィットネスクラブのこのプログラムが教えられます」という特化したインストラクターを養成するわけではありません。だから指導者を目指す人は競技者でもいいし、未経験の人でもいい。今これを読んでいる人の中には、年齢や運動歴などを理由にためらっている人もいるかもしれませんが、教えたいという気持ちがあればぜひ挑戦してみてほしいと思います。

 フィットネスの場は、クラブのほかにもいろいろな領域がありますね。対象も子どもから高齢者まで幅広い方たちがいます。そのため講義の内容は、本当に運動の基礎の基礎からスタートします。もちろん他の団体さんでも運動の基本は教えると思うのですが、JAFは特にエアロビックをどんな場でも教えられるようになることを目標に、いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、なぜ(Why)教えるかという指導の原則や、そのための短・長期的な計画の立て方などから学んでもらいます。
 例えば体育館で運動経験がない人を指導するのならどういう内容にするのか、秋に発表会を予定しているのなら夏にはどんな練習を行うのか……など。フィットネスクラブのスタジオ指導であれば、なんらかのプログラムを目指してメンバーが集まってくるわけですが、反対に集まったメンバーに対して何ができるかという発想ができるような講習を目指しています。

学ぶ姿勢を忘れずに 引き出しの数を増やす

 こういった指導を行うインストラクターに求められるものは、やはり自分で勉強をし続ける姿勢でしょう。世間には多くの情報があふれていますが、新しいものだけを追うのではなく、目の前にいる参加者から学ぶという姿勢を持つことを忘れないでほしいです。様々なニーズに対して、自分で創造してプログラムしたものを提供すること、一方的に伝えるのではなく、相手が満足できるように色々な引き出しを用意していくためにも、常に学び続けるという意識は欠かせません。さらに、クラスをマスで捉えるのではなく、参加者1人ひとりに気を配れるようになることも大切ですね。
 講習会に通う人のなかには、「自分がうまくできないのがわかっているけれど、私でも指導できるような運動内容でないと人は動かない」とおっしゃる人もいました。運動能力が高いとかトークがうまい指導者だけでは高齢者の運動の場は増えません。もちろん若い人にはどんどん活躍してほしいですが、現役引退した人たちが自らの目線で同じような人たちを教えていくことも、これからの時代とても大切になっていくと思います。

身体活動を通じて、人を幸せにしたい、
楽になってほしいという視点を持って

深代 泰子さん (公社)日本フィットネス協会 業務執行理事

生活の中に根付くフィットネスの提供を

 健康であるためにはバランスのいい食事が欠かせないのと同様、適度な運動習慣が欠かせません。最近では社会的な健康政策もあって、こうした意識が一般の人たちにもずいぶん根付いてきました。
 そしてそのぶん、必要とされるインストラクターの姿も変わってきています。30年前にエアロビクスが日本に紹介された当初は、アメリカから入ってきた新しいエクササイズに多くの人が飛びつき、エアロビクスの一大ブームが起きました。運動能力の高いスターインストラクターがハイレベルなレッスンを行い、それについて来れる人たちだけが集まる。そんなレッスンが通用していたのです。
 でも今のフィットネスインストラクターに求められるのは、日常の健康づくりのための指導者であること。どんな人が参加しても楽しめて、「また来たい」と思ってもらえるレッスンの提供です。食事でいうと、たまに食べることができる珍しいエスニック料理が、白いごはんとみそ汁とおかずに変わったようなものですね。

 これからのインストラクターは、フィットネスを特別なものとしてではなく、一人ひとりの生活スタイルの中にしっかり根付かせていくことを今以上に意識していかなくてはならないでしょう。そのためには、「このエクササイズをやるといいですよ」と押し付けるのではなく、フィットネスを行うことでより幸せになってほしい、少しでも楽になってほしいという視点を持って指導を行うことが必要です。

 またインストラクターは、説得力のある身体づくりも欠かせません。健康教室やスタジオなどに入ると、自然とインストラクターに目がとまり「この人が先生だ」というのがわかりますよね。もちろん自分の身体をよく知っていて自分に合ったウエアを選んでいるというのもあるでしょう。けれどもそれだけではない立ち姿や身のこなし、そしてインストラクターとしての自信がオーラのように発信されているのだと思います。メンバーのモチベーションを保つためにも、またそのエクササイズが有効であると証明するためにも、第一印象でも動いたときにも説得力がある、そんな身体を手に入れたいですね。

グループエクササイズの指導はどんな種目にも役立つ基本

 グループエクササイズは個人で行う運動に比べて、仲間がいることが刺激になって大きな効果を生むものです。しかし何十人というグループを一度に指導するためには、一人ひとりに意識が行き届かないなどといった指導面での難しさも感じるもの。インストラクターは単に動きを見せるだけでなく、メンバーの動きを観察してつまずいているところはないかをキャッチし、動きを続けながらそれを伝えていかなければいけません。人対人の仕事ですから、やる気を引き出す言葉がけなどのコミュニケーション能力も大切。学ぶべきことは山のようにありますね(笑)。 これらの理論は養成コース中にも学べますが、スキルとして身につけられるのはやはり現場に出てみてから。どんな人が来るかわからない中、大勢の前に立って指導を行い経験を積むこと。時には冷や汗をかくような体験をするかもしれませんが、これが指導者としてプラスになっていくので怖がらないでくださいね。

 エアロビクスのグループレッスンは、インストラクターとしての入口のひとつ。そこから先は公共施設での指導や、ヨガやピラティスなど色々なところに道が広がっています。人が好きで人に 喜ばれたい、運動を通して役に立ちたいという気持ちを持ち続け、ニーズに合わせてどのように自分の引き出しを増やせるかという努力を怠らなければ、将来どんな種目のグループ指導を行っても役に立ちますよ。

*本ページの内容は、「月刊ジャパンフィットネス」 2013年2月号特集より抜粋してご紹介しています。

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