[2014年8月特集インタビュー]

「指導者は、顧客の成果を見据えてアウトプットを」スペシャル対談 長谷山留美さん×石野田 神さん×赤沼直美さん

あなたは将来のワークスタイルをどのように描いていますか?
フィットネスクラブ・専門スタジオ・小規模スタジオなど業態の多様化、メンバーのニーズの多様化などでフィットネスプログラムや資格が増えている現在…今後も多種多様なプログラムが増えることも予想されます。養成コース選びに悩む人も多いはず。
今回は、第一線で活躍されている3人によるスペシャル対談です。これからインストラクターを目指す人、新たな資格取得を目指す人、ぜひ参考にしてください。

【 Profile 】

長谷山 留美さん
AFAAマスター検定スペシャリスト、テクノジムジャパン ナショナルマスタートレーナー。MFA-CPRトレーナー。エアロビクスからステップ、コンディショニング、ダンスウィズミーなど、指導クラスも幅広い。生涯現役を目指し、国内外で活動中。
石野田 神さん
株式会社ルネサンス ソフト開発部プログラム開発チーム 専任課長。adidas Performance Training教育ディレクター、シナプソロジー普及会教育ディレクター、健康運動指導士、NSCA-CPT。フィットネスプログラムの開発、パーソナルトレーナー育成の分野で活動中。
赤沼 直美さん
Studio Beaura代官山エグゼクティブディレクター、フィットネスクラブ ティップネス プログラムディレクター、Manduka Japanプラチナアンバサダー、YogaFitR認定インストラクター、Krishnamacharya Yoga Mandiram認定インストラクター、ヨガ指導者養成、プログラム開発、書籍、雑誌、CM、DVD監修など幅広く活動。

運動の得手不得手は関係ない!

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長谷山 留美さん

石野田 神さん

赤沼 直美さん

【JF】
まずは、みなさんがフィットネス業界に入られたきっかけを教えてください。
【赤沼】
エアロビクスとの出会いは高校生のとき。当時はトライアスロンをやっていて、そのトレーニングとして始めたんですけど、どんどんハマって。
【長谷山】
当時は、大・大ブームだった時期ですよね。
【赤沼】
地元のティップネスのインストラクターに憧れて、養成コースに入りました。
【JF】
ヨガとの出会いは?
【赤沼】
ずっとウエイトトレーニングをやっていて、柔軟性とバランス力が欲しいと思ったときに、アメリカでブームになっているヨガがすごくいいと聞きまして。そして現地で日本にはまだなかったパワーヨガに出会い、これを紹介したいと思ったのがきっかけです。
【長谷山】
私の場合は、赤沼先生と正反対なんです。ずっと文系でスポーツなんて大嫌いだった。
【JF】
意外ですね!
【長谷山】
そんな人でもインストラクターになれるんですよ(笑) 大学時代に留学でロサンゼルスへ行く機会があったんです。当時のハリウッドはそれこそエアロビクス流行の発信地でしょ。みんなわかるかしら? ジェーン・フォンダがワークアウトを発表して……。
【赤沼】
知ってますよ!
【長谷山】
よかった! 今の養成コース生には、知らないって言われるんですよ。
【赤沼】
ショックです(笑)
【長谷山】
もともと運動は嫌いだけどダンスは好きだったので、ジェーン・フォンダのスタジオに通い出したんですね。
【赤沼】
すごい!
【長谷山】
ラッキーなことにパートタイムジョブで雇ってもらえて、レッスンを担当できたんです。日本に帰ってからは、当時はまだ少なかった地元のフィットネスクラブに入り、「エアロビクス」というプログラムをスタートしました。
【JF】
本当にゼロから作り上げたんですね。
【長谷山】
そうなの。そうしているうちに興味を持ってくれる参加者が増えて、本格的に人を育てて……といった感じです。
【JF】
石野田さんの場合はいかがですか?
【石野田】
私はどちらかというとスポーツどっぷりで。小学校からサッカーをしていましたし、田舎にいたこともあって、スキー、スノーボード、ラフティングなど、スポーツ浸りの生活でした。
【長谷山】
ステキですね!
【石野田】
ただ、子どものころからケガがすごく多かったんです。靭帯を切ったり、肩を脱臼したり。高校3年間の中で、松葉づえ生活がなんと3回(笑)
【長谷山】
今になれば、ある意味貴重な体験ですけどね(笑)
【石野田】
それでもスポーツ関連の仕事をしたいというのはありまして、スポーツというキーワードで就職先を探して、フィットネスクラブに決まったんです。

これからの時代は柔軟性が不可欠

【JF】
アスリートのご経験があると、健康向上を目的とするフィットネスクラブはギャップを感じませんでしたか?
【石野田】
そこは、本来分ける必要はないと思うんですけどね。日本のスポーツクラブはスイミングスクールから広がっていったという経緯があると思います。一般の方でも、ゴルフや草サッカーやランニングなど様々なスポーツのパフォーマンス向上のために通っている人も多いと思いますが、なぜか「競技スポーツ」というイメージは敬遠されがちだと感じます。
【長谷山】
どこかにスクール=学ぶというイメージがあるんでしょうね。だからインストラクターのことを先生って呼ぶのね。そして先生の言うことは絶対になってしまう。

【JF】
選んでくださいねと言われても、インストラクターのマネをしがちです。
【長谷山】
その位置づけが変わらないと、フィットネスは変わらないと思うんです。インストラクターはティーチャーではなく、モチベーションや個性を高める役割ですよって。
【赤沼】
そうですね。それこそヨガは、習い事からスタートして「師」という存在がある文化ですから、教える側が先生になってしまいがちなんです。
【長谷山】
自分たちの身体は自分たちのもので、インストラクターはそれをサポートするんだよということを、本人も忘れてしまう。
【赤沼】
今の社会では、絶対的な存在を置くのではなく、どこにいっても自分なりにうまく生きられる柔軟性のある人を育てることが大切ですから。お客様にそうなっていただくためには、私たち指導者も変わっていかなければダメですね。
【JF】
「柔軟性」というのは、今後のキーワードになりそうですね。養成コース選びにしても、柔軟性を持って学ぶことが大切なのかもしれません。ただ、今は情報量が多くて選ぶ難しさもあると思いますが……。
【石野田】
立地も大切ですし金額だって無視できない。でも、その入口は自分のやりたいことじゃないでしょうか? アンテナを立てておけば、たくさんの情報の中でもピピッとくるものがあるはずですから。

アウトプットできる指導者になるために

【JF】
ヨガにも多くの養成がありますね。
【赤沼】
ヨガのいいところでもあり悪いところでもあると思うんですが、比較的資格がすぐ取れてしまうんですよ。人に伝える、教えるということをあまりしないで終わってしまう養成が多い。でもアーサナってそんなに簡単なものではなく、本来であればそれこそ人生をかけてクリアにしていかなきゃいけないこと。先のことを考えるなら、短い時間よりゆっくり学べるところを選択したほうが自分のためになると思います。

【石野田】
ヨガを学ぶ人は、海外に行く人が多いように感じます。なぜなんでしょうか。
【赤沼】
ヨガというのは生活なので、ヨガづけの生活を送ってみたいというのが1つかなと思いますね。でもそれで伝える力がつくかというと……。
【石野田】
違うでしょうね。
【長谷山】
自分のためですもんね、伝えるためじゃなくて。
【赤沼】
インプットだけで、アウトプットは難しい。
【石野田】
運動指導者は、クライアントニーズに合わせ自らの持っているものを「どうアウトプットするか?」が重要だと思います。「腰痛を治したい」「痩せたい」「スポーツで勝ちたい」など、個人個人の目標達成のために、自分が持っている引き出しをフルに動員して総合的に活かせる能力が不可欠です。
【JF】
アウトプットを高めるためには、どんなことが必要でしょうか?
【長谷山】
いかに相手側の気持ちになるか、どういうクラス展開をするかなどを考えることでしょうか。セリフをト書きのように覚えてしゃべっても絶対伝わらないですから。
【石野田】
自分がやっていることが顧客の成果につながっているか、という客観的分析ができないといけないと思います。そうでなければ、学んだことを披露して自己満足で終わってしまう。
【JF】
楽しさの提供のその先ですね。

レッスンは「生もの」常に最新の情報が必要

【JF】
ここ数年、業界の成長は残念ながら横ばい、エクササイズプログラムの大ヒットもありません。そんな状況の中で、今指導者が心がけなければいけないことはなんでしょうか?
【長谷山】
大変だね、なんていっていてもしかたない。人それぞれ自分がピピッとくるものを鍛えることじゃないでしょうか。アイディアを持っている人は、どんどんチャレンジしてみたらいいと思うんです。
【赤沼】
そのためにも学びが必要かなと。私たちは人を扱っていますよね。人って生ものだから、常に新鮮なものを提供し続けないといけないんです。いつ腐っていくかわからないから、どんどん新しいものをとり入れて提供していく。
【石野田】
市場を広げていくことを他に依存するのではなく、学びながら個人でネットワークを広げたり、キャリアプランを考えたり、当事者として行動していけなければ次のステップは無いのではと個人的には感じます。フィットネスの市場全体が広がり活性化していかない限りは、今ある市場を取り合うことになるということを知っておきたいですね。
【長谷山】
レッスンは本当に生ものですよ。満足したらおしまい。だからがんばるし、丁寧にやっていくし、大切にするし、準備もするんじゃないかしら。
【JF】
成果を見据えつつ、学び続ける人が第一線で活躍し続けられるのかもしれませんね。貴重なお話をありがとうございました!

*本ページの内容は、「月刊ジャパンフィットネス」 2014年8月号特集より抜粋してご紹介しています。

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