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Vol. 01

確定申告Q&A

フリーランスの青色申告について教えてください。

相談:
昨年8月より独立してフリーランスのインストラクターとして活動しています。
今年の確定申告から青色申告にチャレンジしてみたいのですが、それにはどのような準備が必要か
詳しく教えてください。(フィットネスインストラクター歴8年 31歳男性)
回答:
青色申告には事前に申請が必要です。 多くのメリットもありますが、
複式簿記による帳簿を付ける義務*も発生するので制度を理解することが大切です。
《 回答者: 井上 敦さん
回答者:井上 敦さん
税理士法人オフィス921 社員。公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー。
慶應義塾大学商学部卒業後、中央青山監査法人を経て現職。
総合格闘家・ブラジリアン柔術インストラクターとしても活動し、
スポーツ指導者としての顔を持つ公認会計士である。
【オフィス921 ホームページ】 http://www.office921.co.jp/
【ブラジリアン柔術インストラクター 井上敦 BLOG】 http://blog.livedoor.jp/valetopa/
  • こちらは掲載当時の内容です。確定申告に関する最新の情報については、国税局など税務関連のウェブサイトを確認するか、税務署員、税理士、公認会計士などの専門家に確認をしてみましょう。
  • 2014年度(平成26年度)1月からは、白色申告者も記帳が義務化されています。

確定申告とは

確定申告とは、税金に関する申告手続のことです。法人は申告をする決算期を自由に設定できるのですが、個人の方は1月1日から12月31日までの暦年で決算をして、申告する年度の2月16日から3月15日までに確定申告することになります。(還付の場合は1月から提出可能。)
インストラクターやトレーナーなどの運動指導者の方は、個人事業主の方が多いと思いますので、今回は個人による確定申告についてご説明します。

雇用契約による給与所得者と、業務委託契約による報酬で収入を得ている個人事業主の方がいると思いますが、給与も報酬も源泉徴収といって企業側が毎月所得税を引いた額で支払われるのが原則です(税金を引かれないまま支給されている場合は、企業側に支給方法について再確認してみましょう)。

この源泉徴収による所得税は、一定の金額が引かれていますが、1年間の税額とはズレが生じるので1年間のトータルで再計算し、確定した税金を申告するのが確定申告です。日本の所得税は、所得に応じて税率が変る累進課税という税制を採っていますので、年間の所得を再計算して所得を確定することは重要な手続きなのです。また、ここで申告された所得に基づいて、翌年に支払う住民税が算出されているのです。

税制に関しては苦手意識を持っている方も多いと思いますので、基本的な部分からご説明します。まず大切なのは、額面どおりの収入と、所得の違いを理解することです。収入から経費を差し引いたものが所得です。そこから年金、保険、医療費などを条件に応じて差し引いたものが課税所得というもので、この課税所得に対して税金がかかってきます。

給与所得者と個人事業主の大きな違いの一つは経費に関する事項です。給与所得者には給与所得控除という一定の控除額が定められた制度があります。この制度で差し引かれる金額は決まっていますので、医療費控除や寄付金控除を受けるなど特殊なことがなければ、企業側の年末調整により確定申告は不要になります。
本年度でいえば義援金は寄付金控除の適用がありますので、義援金を支出した方は、それらに関する書類は確定申告までに準備しておきましょう。また、雇用契約のみの場合でも、複数の企業で収入がある場合は、確定申告が必要です。

個人事業主が確定申告で経費を申告する場合、領収書などから必要経費を集計する必要があります。事業に関する費用は必要経費になります。必要経費の範囲は個別の判断になってしまいますので、ここでは割愛させていただきます。

給与に関しては源泉徴収票、報酬に関しては支払調書という書類が通常は交付されます。運動指導者の場合には、複数のクラブと契約するなど給与と報酬両方の収入がある方もいると思いますので、その場合、この両方の書類を準備して収入の額を把握します。

青色申告とは

確定申告には白色申告と青色申告というものがあり、青色申告は、青色申告特別控除として65万円が所得から控除されます。仮に所得が300万だとしたら、そこから65万円を差し引いた235万が課税所得になります。この場合の所得税は10%ですので、6万5千円分の税金が少なくなったことになります。

また確定申告で申告された課税所得を元に住民税がかかってきますので、65万円の控除は住民税にも反映され、所得税と合計で約13万円の節税になります。確定申告は毎年行うものです。長期的なスパンで考えると、青色申告にすることは金額的に非常にメリットのあることだと理解できるでしょう。

青色申告のメリットはその他にもあります。個人事業では、家族が仕事を手伝うケースもあると思います。家族に対して支払う賃金は、白色申告の場合は配偶者86万円、その他の親族は50万円までに制限されていますが、青色申告の場合は、青色事業専従者給与という制度があり、あらかじめ税務署に届出すると、届出した金額の範囲内で家族に支払う賃金を全額必要経費とすることが出来るのです。また、事業所得が赤字だった場合は翌年以降3年間の繰越が認められています。

青色申告をするためには複式簿記により帳簿をつける必要があります。複式簿記は不正な経理が困難であり、国が青色申告をする事業主に対して特典を与えるのは、明瞭な経理によって不正を事前に防ぐのが目的です。こうした制度を理解すると、読者の方でも青色申告をチャレンジしてみようと思う方がいるかと思いますが、青色申告には事前に申請が必要です。この申請期限は、事業開始から2ヶ月以内、または申告する年の3月15日までになります。

今年度(平成23年分の申告)から、いきなり青色申告しようと思っても青色申告の特典は受けられません。現時点で申請できるのは、昨年12月から事業をはじめた方のみです。来年度(平成24年分の申告)の申請は今年の3月15日までになりますので、来年度から青色申告をしたいと考えている方は、今年確定申告する際に税務署に尋ねてみましょう。

帳簿をつけるメリット

複式簿記は決して難しくありませんが、手書きやエクセルで記帳するには、ある程度、簿記に関する知識が必要になります。現在は、安価で使いやすい会計ソフトが数多く発売されており、複雑な取引がなければこづかい帳を付ける感覚で記帳できますので、慣れてしまえば比較的簡単です。

本年度の青色申告ができない場合でも会計ソフトを導入し、複式簿記による記帳の練習してみることをお勧めします。白色申告でも経費を集計しなければいけないことに代わりはありませんので、今から帳簿をつける習慣を持ち、慣れることは、来年度申告の際に必ず役立つと思います。

帳簿をつけるメリットの一つとして、事業における会計の管理がしやすくなる点があります。 企業が出した支払調書と、自分の付けている帳簿の額が違っている場合や、企業の倒産により源泉徴収票や支払調書を出してもらえないケースも想定できます。このような場合に、自分の収入を正確に把握していないと、故意でなくても申告漏れに繋がることもあります。
毎月帳簿をつけ、自分の所得を把握しておくことは、リスクマネジメントにも繋がります。事業を拡大し、法人化を目指している方も多いと思います。適切な経理は事業の信頼度を高めますので、帳簿を付ける習慣を身につけることは非常に有益なのです。

(取材・文 塚本 建未)

*本記事は、「月刊ジャパンフィットネス」 2012年2月号に掲載された内容を基に構成しています。

*ご協力くださった回答者のプロフィールは、掲載当時のものです。

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