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Vol. 02

確定申告Q&A

確定申告の勘定科目について教えてください。

相談:
今年からフリーランスとして独立したので、青色申告で確定申告をする予定なのですが、勘定科目について本を読んでも全くわからないので詳しく教えてください。 (インストラクター歴10年 32歳女性)
回答:
運動指導者の個人事業主に必要な勘定科目は、それほど多くありません。自分にとって必要な科目は何かを具体的に知ることが重要です。
《 回答者: 井上 敦さん
回答者:井上 敦さん
税理士法人オフィス921 社員。公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー。
慶應義塾大学商学部卒業後、中央青山監査法人を経て現職。
総合格闘家・ブラジリアン柔術インストラクターとしても活動し、
スポーツ指導者としての顔を持つ公認会計士である。
【オフィス921 ホームページ】 http://www.office921.co.jp/
【ブラジリアン柔術インストラクター 井上敦 BLOG】 http://blog.livedoor.jp/valetopa/
  • こちらは掲載当時の内容です。確定申告に関する最新の情報については、国税局など税務関連のウェブサイトを確認するか、税務署員、税理士、公認会計士などの専門家に確認をしてみましょう。
  • 2014年度(平成26年度)1月からは、白色申告者も記帳が義務化されています。

損益計算書と貸借対照表

個人事業主が確定申告で作成しなければいけない財務諸表(帳簿)には損益計算書と貸借対照表があります。
分かりやすく説明すると、損益計算書は、1年間にどれだけ収入を得て、どれだけ経費を使ったかを記録することで所得を計算し、貸借対照表は、事業としての財産が現在どれだけあるかを示す帳簿です。個人事業主の場合、これらの帳簿は1月1日から12月31日の暦年で記録します。確定申告は、その年1年で稼いだ所得を基に税金を計算する手続きです。

損益計算書の勘定項目について

市販の会計ソフトでは、損益計算書が正確に作成できれば、貸借対照表も作成できるようになっていますので、今回はこの損益計算書の勘定科目のうち、インストラクターやトレーナーといった運動指導者の個人事業主が知るべき科目について説明します。
白色申告でも、ほぼ同様の勘定科目により計算しますので、確定申告する方は科目の内容を理解しておくと良いでしょう。
(以下 (1)~(31) の番号は所得税青色申告決算書の損益計算書に付されている数字です。

(1) 売上、 (2)~(6) 売上原価
運動指導によって得た報酬は売上です。
その他、事業で稼いだ全ての収入は売上ですので、本誌のようなメディアのモデル・監修費なども売上です。
運動指導者は物販を行っている方は少ないと思いますので、売上原価に関しては記入の必要はあまりありません。注意が必要なのは、売上として計上するのは報酬による収入である点です。
皆さんは様々な形で収入を得ていると思いますが、どういった形で契約をされているかを再確認しましょう。
もしその中に、雇用契約の給与が含まれている場合は、売上に含めるのではなく、別途、給与所得として合算して申告する必要があります。給与の場合は年末に源泉徴収票、報酬の場合は支払調書が送られてきますので、それらで確認するとよいでしょう。
(8) 租税公課
税金関係にかかった費用を計上する科目です。自動車税や、契約書などを作成したときの印紙代などがこれに当たります。税込み経理の消費税や所得が290万以上からかかる事業税もこの科目に計上します。
(9) 荷造り運賃
宅配便などの送料にかかった費用です。
(10) 水道光熱費
スタジオや事務所などの水道光熱費を経費として計上できます。自宅を事務所として兼用している場合は、事業で使った分を経費として計上できます。
(11) 旅費交通費
旅費や交通費にかかった費用です。管理のためレギュラーのクラスの交通費とイベントの出張費等を分けて、科目を作って計上しても構いません。
(12) 通信費
電話代、インターネットなど事業用の通信にかかった費用です。
(13) 広告宣伝費
事業用のホームページを作成したり、メディアに広告を出すなど、業務の宣伝にかかった費用です。
(14) 接待交際費
業務上の付き合いで飲食をしたり、贈答品を送ったりする場合にかかる費用です。
事業関連の冠婚葬祭などはこちらに含めることが可能です。結婚式や葬儀などは領収書がないと思いますので、日付が入った招待状や案内状などを保存し、払った額をメモ書きなどで残し証拠として保管しておきましょう。打ち合わせで、喫茶店などを利用した場合の費用は会議費という科目で計上する場合が一般的です。
(15) 損害保険料
スポーツ保険など、事業に関連した保険にかかる費用です。
(16) 修繕費
スタジオや事務所の修繕費、事業用の車、パソコン、携帯電話などの修理代がこれに当たります。
(17) 消耗品費 (18) 減価償却費
事業の中で消耗する品物にかかる経費です。青色申告の場合、3品目30万未満までは消耗品としてその年に費用計上することが可能です。しかし、30万円以上の費用のかかった品目は貸借対照表の固定資産の科目に資産として計上した後、損益計算書で減価償却費として費用計上します。
この減価償却費は、長期間にわたって使用される固定資産を数年に分けて費用化したものです(減価償却費に関しては、所得税青色申告決算書の3頁目に内訳を書きます)。
(19) 福利厚生費 (20) 給料賃金
一人で業務を行っている個人事業主には関係のない科目です(青色申告 で配偶者や親族などに給与を支払う場合は青色申告専従者の申請が必要です)。
事業を手伝ってもらった人に謝礼を渡した場合などは、契約にもよりますが業務委託契約が多いと思われます。この場合は支払い報酬ですので、外注費という科目を作って計上すると良いでしょう。
(21) 外注工費
オリジナルユニフォームやチームのロゴなどを作成してもらうといったことがあれば、外注工費として計上可能です。
(22) 利子割引料
事業用に金融機関から借り入れをした場合の利息は経費として計上できます。
(23) 地代家賃
スタジオや事務の家賃にかかる費用です。自宅と兼用の場合は、事業として使っている分を時間やスペースなどから計算して計上可能です。
(24) 貸倒金
業務委託しているスポーツクラブ等が倒産し、報酬が回収できないといったことが発生した場合は、その額を経費として計上できます。
(25)~(30) 自由作成できる科目
経費の勘定科目のうち6つは、自分で計算しやすい枠組みで、自由に科目を作ることが出来ます。例えば、ウエア代、メイク代といった科目を作ることも可能ですし、ワークショップ参加費、資格の維持費などを研修費、プロテイン代、スポーツクラブ会員費などをトレーニング関連費といった形で計上することも可能です。
このように経費をどの科目として計上するかは、自分の裁量で決められます。自身で分かりやすいように科目を分けておくと、前年度と明らかに額が違ったら、帳簿の記入漏れなどに気づき易くなり、事業決算の透明化につながって次年度の事業計画の参考にもなります。運動指導者の場合、数ヵ月帳簿をつければ後はルーティーンになる事が多いと思いますので、分からない科目が出てきたら、その時点で調べるといった対応で十分です。
(31) 雑費
家計簿と一緒で、科目をあまり細かく分けすぎると、計算が大変です。ただし、分からないからといってなんでも雑費で計上すると税務署にいい印象を持たれないと思いますので、年に数回しか発生しない少額の経費は雑費として計上し、継続的・定期的に発生する経費については別途科目を設けるのがよいでしょう。

事業用とプライベート用を分ける

青色申告の場合、売上げの計上は原則としてサービスの提供日で行います。運動指導であれば、インストラクションした日が該当します。経費も基本は支払義務が確定した日で計上しますので、支払先と日付と金額が入っていている請求書や領収書や納品書を保管しておきましょう。

メールで送られてくる納品書などはプリントアウトして保存しておきます。個人事業主の場合、ガソリン代や電話代、交際費など、どこまでが事業で、どこまでがプライベートなのか判断に迷う領域が多いと思います。こうしたことで悩まないためにも、収支に関する事柄は可能な限り事業用とプライベート用に分けておくと便利です。

事業用の通帳を持っておき、口座から引き落とす形で決済しておくと、事業用の支出は記録が残ります。また、事業でカード決済する場合は、クレジットカードも別に持っておくとよいでしょう。領収書をもらったらその日のうちに、事業用とプライベート用に整理すると後で悩む事がなくなります。

当然のことですが、領収書があればなんでも経費にしてよい訳ではありません。「これは経費にできる」などという人の噂話などを真に受けたりせずに、モラルを持って事業にかかる収支の範囲内で帳簿を作成することが大切です。

(取材・文 塚本 建未)

*本記事は、「月刊ジャパンフィットネス」 2013年1月号に掲載された内容を基に構成しています。

*ご協力くださった回答者のプロフィールは、掲載当時のものです。

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